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薬を作るルールとしてのGMP

GMPって何?

GMP(Good Manufacturing Practice)を無理やり日本語に訳すならば『医薬品の製造管理および品質管理基準』となるらしいです。ざっくり言ってしまうと、薬を作るためのルールのようなものですね。

一般的な工業製品と医薬品が最も異なるのは、製品のデキが健康面にダイレクトに影響してしまう点でしょう。品質の劣る製品が作られてしまうと有効性が無いばかりか、健康被害が生じてしまう恐れすらあります(実際に薬害が生じた過去)。ゆえに安心して使用できる良質の医薬品を供給するための基準であるGMPが必要となったわけです。

導入の歴史

本邦にGMPが導入されたのは1974年のことでありました。当初、自己管理項目にすぎなかったGMPですが1994年からは医薬品製造の許可を得るための必須項目に格上げされています。

日本に先んじること約10年の1962年、世界で最も早くGMPを導入したのが米国です。そのせいもあってか、GMPは『誰が作業しても、いつ作業しても、必ず同じ品質・高い品質の製品を作るための仕組みを要求する(=どんなに質の低い労働者であっても高い品質の製品を作ることができるようにするべき*1』という非常に米国的な性格を持っています。
このあたり職人芸が要求されがちな日本のものづくりとは、まるっきり相容れないものであるため本邦での導入が遅れたのかな?と邪知されますが・・。

内容について少しだけ

GMPの目的は大きく分けて、以下の3点になります↓

(1)人による間違いを最小限にする。
(2)医薬品の汚染と品質低下を防ぐ。
(3)高い品質を保つ仕組みを作る。
誰でもわかる簡単GMP 

(1)〜(3)はそれぞれ独立したものではなく関連しているといえます。(3)を担保するために(1)と(2)が存在する、という感じでしょうか。

さて「絶対にミスをするな」というのはまさに『言うは易し行うは難し』であり、ゆえに『最小限』という表現が用いられています。ただし、リスクを限りなく小さくすることは可能です。
基本的には定められた作業手順を逸脱しなければ、重大なミスは起こりえません。これに加えて、逸脱が無いことを作業者+記録者でダブルチェックすればミスを見過ごす可能性は小さくなるでしょう。さらに言えば、逸脱が生じた際に工程を先に進めることができないような仕組みを作っておけば深刻な事態は避けられそうです。

(2)については清掃法から作業者の服装(無塵衣等)、クリーンルームの設計などが関わっています。根本的な問題として、汚染を回避できないような環境で高品質な医薬品の生産などできようもありませんね。また、(1)と関連してミスを防ぐことは品質を保つことにもなるでしょう。

(3)に関連して、何よりも重要なのは原料、各工程、製品等に問題が無いことを担保するために『記録』を残すことです。記録がなければ各工程で適正な操作が行われたか、というのを第三者に証明することもできません。基本的には紙媒体に残す必要があるらしいので、GMP=Great Mountain Paperと(ジョーク的に)称されることもあるとか無いとか・・。

*1:かなり意訳